ブリコ童話・作文集　

いろんなところを見たけれど、今年はここに決めました。
去年、誰かが使った巣。
他の夫婦も見に来たけれど、早いもの勝ちなんだ！
少しリフォームすれば、マイ・スィート・ホームになるよ。

外側も点検して、ちょっっぴり補修工事をします。
手作りならぬ、くちばし作り。すごいでしょ！
中には、草や小枝のクッションも運び入れました。


「愛しの奥さん、小さな巣ですが、ここでよろしく！」

「あなた！有難う。　もう赤ちゃん産まれそうよ！」

「がんばってね！外で見守ってるからね！」







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じーっとじーっと、ふたりでそのときを待ちました。
病院にも行かないし、お産婆さんにも頼まない。
それでも自然に、卵で産まれてきたよ！おめでとう！！

「三つ子ちゃんだね！！まだ卵の中だね！」

「今から私、動かないわ！可愛い赤ちゃん、かえるまで」

「お腹空かないかい？」　　「平気です！」

「暑くないかい？」　　「平気です！」



・・・一週間がたちました。・・・



「アッ、赤ちゃん、殻を破って出てきたよ！！」

「ふにゃふにゃで、小っちゃくて　まだ眠っているようね！」

ふたりで子供をながめます。　　「可愛いねー！！」


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首がすわって、お座りも、できるようになりました。
頭の毛は、ぽやんぽやんの子供たち。
そろそろ食べ物が欲しそうだ。


「サー、食べ物を探してこよう！！

かわりこばんこに行きましょうー！！」　「よし！」　すいー・・・

「　いってらっしゃーい！」・・・・



「ママー！おなか空いたー」　「　ぼくも、空いた　」

「今、パパが持ってきてくれるからね！・・・ほーら来た！！」

すーいすい　「ハーイ！お待たせ！」　「頂戴、頂戴！」

「　パパー！私も・・・」　「僕もー・・・」

「あらあら、足りないわね！今度はママが行って来るわ！

パパ、　その子たち　見ててよー・・・」

「オッケー、気をつけて、ママ！・・・」　すいー・・・

「ママー、早く帰ってきてよー！」　「いってらっしゃーい！」



朝早くから、夕方まで　パパとママは、働きどおし。
かわりこばんこに、飛んできます。


一日の最後の食事を運び終わると、
夜は、子供達だけでお留守番。

子ども達は。寄り添って、ふかふかベッドで、すやすやすや・・・
時々、寝言が聞こえます。　『　ママ・・・　』

パパとママは、お家に子供を寝かしつけると　
他のパパやママもいるところで
子育てのことや、ミッションの経過なんかの報告相談会。


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お日様が、顔を出すが早いか、
パパとママは食べ物探し。朝御飯を子供たちにと探して
全速力で帰ります。　すーいすいすい、すーい・・・


「朝だよー！朝御飯だよー！」

「パパー、ママー！お早う！！いただきまーす！！」

「はいはい、順番、順番！！」　「美味しいなー！おかわり！」

「お兄ちゃんばっかりダメー！！」　「順番、順番！」

「沢山食べて、いい子達ねー！！」　「パパ、がんばろうね」

「もう一回、行ってくるよ！！待っててね！！」すいー・・・

「ママも行くわ！！　お留守番できるわねー！！」




何回も何回も・・・全速力、すいすいすーい　・・・


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今日は、遠くから　ゴロゴロ　ゴロゴロ・・・
雷の音がしています。　時々　ピカーっと稲妻が走る。

「お留守番、頼むわね！」「えー・・・？今日も行くの？」

「そうよ！お腹すくでしょ！おしごとだもの」　

「早く帰ってきてよー・・・！」　「はいはい・・・」


「にいちゃん！　ちょっとコワいよー」

「バカ！大丈夫だよ。ここは、雨も当たらないし、

風だって強くないし　雷なんか　こわくないよ！」

　ピカー・・・！！　　「兄ちゃん！！」

「バカ！！泣くな！」　「泣くなって云ってるのにー、エーン！」

「マーマー・・・パーパー・・・エーン・・・」　「　エーン　」


「ただいま、あらあら　みんなで泣いちゃって・・・

　雷さんいなくなるまで、一緒にいるね！！」

「ほんとう？　ママー！！」



　　　　



雨もあがって　雷さんもどこかへいきました。

辺りも明るくなりました。

「ほ～ら！もう大丈夫！

　ママは、もう一度　おしごとに行って来るからね！」

「ハーイ！！今度は、いい子にして待ってまーす！！」



そうして　何日も何日も休まない　パパとママ。


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そうして二週間　・・・、子燕たちは、大きく大きくなりました。


子ども達は大きくなって、もうお部屋は、狭くなってきた。

「痛いよー！足踏んでる！」　「ゴメーン」

「ほら、もうっちょっと、そっちに行ってよー」

「行けないよー・・・痛いよー！」

「うるさいなあ、喧嘩するなよ！」

「・・・・」　　　　「・・・・」　　　　「・・・・・」



パパとママは、夕べの報告会で先輩達に相談しました。

すると、そろそろ、子離れの準備を・・・と
アドバイスをうけました。　もう？　・・・　・・・・

そうなると、もう食べ物は、与えられません。
見つけ方や採り方を教える時が　来たのです。


パパとママは、お互い見つめ合って
決心するようにうなづきました。


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朝日が昇り始めました。


「お早うー」　「　おはよー！」

「パパー、ママー、お腹すいたよ～・・・ご飯はー？」

「今日から、一緒に探しに行きます」

「さー、パパとママに、ついて来るんです。」

「やーだー、持って来てよ」　「　飛べないじゃん　」

「もう、できないのよ。　もうすぐ、パパとママ、

みんなもここを旅立つのよ！！」

「　どこではぐれても　困らないように、ちゃんと教えるから

飛ぶ練習も始めましょう。」　　　「えー！！・・・やだー！」

「大きくなったからもう飛べるんだよ。

さあ、羽を広げて　・・・　羽ばたいてみて！　」

「えー？」　「こわいよー！」　「やだー・・・」

「飛んでごらん！！　飛べるから！！　さあ！」

「・・・・」　「・・・行けよ！」　「・・・・」　「お前から行けよ」

「やだよー、怖いよー」　「・・・」　「飛べないよー・・・」

「兄ちゃん、先にやってみてよー・・・」　「なんで・・・」







「何やってんのー？」　「早くついてらっしゃーい！」

「　パパと、行っちゃうわよ～・・・　」

「出ろよー！」　　「押さないでよー・・・」　　「・・・」

「落っこちちゃうじゃないかー・・・」　　「　・・・　」


「もー・・・、パパ行きましょ！！」　

「そうだな・・・・お腹空いてないんだな！」

「ついて来たら、朝御飯あるんだからねー！！」

「・・・・」　　「・・・・」　「　・・・　」




「ほらー・・・」　「　行っちゃったじゃないかー・・・」

「だから、兄ちゃん、飛んでみてっていったのにー」

　「お前、さきにいけばよかったのにー・・・」

「え～ん・・・お腹空いたよ～・・・」　　「泣くなったらー・・・」


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「パパ、どうする？　何か持ってってやる？」

「ダメだよー！！　ミッションは、即、実行しないと

　間に合わないんだから・・・」　　「そうね！」

「ここは、親も　我慢我慢！！」　「大丈夫かしらねー」

「ふーむ・・・　きっと大丈夫だよ！大丈夫！

　みんな自分のミッション与えられてるんだから・・・」

「そうね！大丈夫ね！」




「お腹空いたなあー・・・」　「・・・・」　「黙って寝ろよ！」

「・・・・」　　　グゥ・・・　　「うるさいよー！」　　グゥ・・・

（イビキじゃありません。お腹の虫が鳴っているんです。）




パパと、ママは　今夜も報告会に出席。

「飛ぼうとしないんですよ　」

「どうしたらいいでしょうかねぇ？」

「明日は、みんなで応援に行きますよ！！」　

「そうですか？助かります！」　

「みんなの子供ですからね。」

「そうそう！　もう、次の夫婦が、ミッション受けて　

　家を探しているようですから、急いでくださいね！」

「わかりました！じゃあ、明日はみなさん、
よろしくお願いします！！」


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そして、次の朝


「アッ！！パパたちー・・・ママも！　

あれ？　他にも・・・」

すーいすいすーい　　すいすいすーい・・・

「ほらー、今日は、親切なおじさんやおばさんが

　一緒に飛んでくれるって！！早く出ておいでー！」

「　みんな飛べるのよー！　

　　気持ちいいわよー！　広いわよー！！」

「ほらー、他にも友達いっぱいいるんだぞー！！」

「　い～い景色も　いっぱい、見られるわよー・・・！！」

「　美味しいもの、食べに行きましょう～！　」



「・・・・」　　「どうするー？」　　「・・・・」

「・・・・・」　　　「・・・・・」　　「　ぼくー、行ってみる！」

「・・・・」　　「私もいくー・・・」　　「・・・・エーい！」

わおーーー！！落ちるーー！！

ぱたぱた　すい　　ぱたぱた　すいすい　　すいすいすーい　

「と、飛べたー！」　　「飛べてるー！」　　「ヤ、ヤッター！！」

すーいすい！　すーいすーい！　すいすいすーい！


「みんな　えらい子ね！！　

　　　　　　　　さあ！ついていらっしゃい！」




そんな風にして、数日間、みんなで行ったり来たり・・・


「　さあみんな！　もう一度、お家のあった所に

　　行ってらっしゃい！！　そこのおうちの人がいたら

　　飛びながら、有難う！って云うんですよ！　」


一度、必ず、お礼に戻ります。　そしてみんなで旅立ちます。




巣は、また空になりました。


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そしてすぐに　次の夫婦がやって来ました。

また少しだけ補修をします。

泥や草や枝をくわえて来て、自分達流にリフォーム。



雨の日も、風の日も、雷の日も、炎天下でも・・・


つばめは　ミッションを果たして ・・・

そして、　南の国へ旅立つのです。

ツバメは、毎年、毎年、来てくれます。

　ありがとう！　見習うことばかり・・・　感謝です！