≪旅の宿≫

森のブリコ

2008年10月28日 12:13

僕は ずっと いつかまた 旅に出たいと思ってた。
今度、行くならこんなとこ、旅に想いをめぐらせた。

今までなんども 旅をした
全部は思い出せないけどね・・・。

やっぱり 僕の好みにあった
よく似たところを選んでしまう。
長い旅の途中では、どんなことがあるだろう?。
美味しいものや 楽しいところ。
それから景色のよい所。
気をつけなくちゃいけないことも
いろいろ教えてもらうんだ!

前に旅したときの宿。こまごま世話をしてくれた
女将さんは元気かな?旅の最初は、あそこがいいな。

宿代催促されないし、もちろん美味しい食事つき。
洗濯なんかもしてくれて 僕が 夜中に起こしても 
怒ったりは、ほとんどしない。
できたらあそこがいいけれど・・・、

すっかりあの辺 変わったらしい、
町並みも 景色も 住む人たちも
宿は、前よりふえていた。


空いてる所 あるのかな?外観と、お風呂と女将さん、
サービスも 少しチェックして、予約ボタンを押しました。
なんとか予約できました。プリントアウトした紙を
『見せてください』と添え書きが・・・

こっちの仕事を片付けて・・・なんとか旅の準備も出来た。

旅慣れている僕だから 身軽に出かけて現地調達!
夜行列車に乗り込んだ。

列車の予約はできなくていつもいつも窮屈で
せまい座席にもぐりこむ。
遠い遠い場所だから、たっぷり一日かかります。


予約の紙だけ握りしめ、長いトンネル 抜けてゆく
ときどき眠くなったけど、ここさえ抜ければれば到着だ。、
息苦しいときあったって、窓のひとつも開けられない。
ちゃんと到着できるかな?少し不安になってきた。

突然、まぶしいほど明るい所。
僕は、両目を つむったまんま
それども・・・やっと来られたみたい!

たくさんの人がいるところ。片目をちょっと開けてみた。
優しい笑顔のあの人が、どうやら女将さんらしい。
安心したら 泣けちゃった。 ただただ 大泣きする僕を 
「ようこそ!大変だったよね」そう云いながら女将さん、
優しく迎えてくれました。

あいさつは考えてあったんだ!
『これからお世話をかけますが、
       どうぞよろしくお願いします。』
そう云いながら差し出すはずの予約の紙が見当たらない。
しっかり握ってたはずなのに・・・
なんだかとっても 息苦しくて 半分眠っていたからな。
あの窮屈な列車の中で どうやら落としてきたらしい!

「そんなのなくても大丈夫!」
やさしくほほえむ女将さん。 

ほんとに申し訳なくて、『ありがとう』を云わなくちゃ!
『お願いします』を云わなくちゃ
あせって声に出したけど・・・ 

「おぎゃーぁーぁー 

おぎゃーぁーー ・・・ おぎゃーぁー・・・

おぎゃぁ! おぎゃぁ! おぎゃーぁー・・・」

どうして?・・・なんだか変な声・・・ 

「元気がいいね!」と女将さん。
そおっと僕のほっぺたを
そおっとつついてくれました。

僕は、お風呂に入れられて、旅の疲れを癒します。

布団もちゃんとしてあって、そっと寝かせてくれました。
僕は ぐっすり休みます。
ほんとに大変だったんだもの。
でも、本当に よかったな。
なんとか、旅の最初の宿に
こうして 来られたんだもの・・・
 
                     
                            (完)
                        

 
これで≪旅の宿≫の話は,終わり。
なぜ、こんな風に書いたのか?

命は≪宿る≫というからです。
10ヶ月もお腹においてくれ、
こんどは命と引きかえにして お産してくれて、
一人前になるように≪タダ≫で世話してくれたから。

自分も宿になったから・・・
子供が旅にでるまでは≪母≫をやらせてもらったし。
選んでくれて、世話できて、嬉しかったと思うから・・・

そんなこんながありまして こういう話になりました。

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