☆ ヒントを求め様々な本を読み、様々な人の言葉に助けられて生きて来ました。☆ブリコ童話は、私なりに学び、気づいたこと、思ったこと、伝えたいことを詩に童話にエッセイにブリコラージュしたブログです。☆長いものは、左下の・・・続きを読む・・・をクリックしてくださいね!

2008年10月28日

≪いばった王様≫

先日≪いきあたりバッタ≫を載せました。
http://heartrap.hamazo.tv/e1055015.html
たくさんのコメント、ご訪問 有難うございました。
そんな中で FP鈴木さんと おSONOさんは 
小三のお子さんにも 読んでくれました。

でも なり雪とか も柿とか 命崖とか
ちょっぴり意味不明で難しかったということで・・・
ブリコ童話編集部(?)といたしまして なんとか
そんな2人のためにと考えました。それで
出来上がったのは≪いばった王様≫というお話。


小3の2人に送ります。
バッタの話じゃないけれど
≪ばった≫は、たくさん入っています。
読んでくれたら嬉しいです。

では はじまり はじまりー・・・・       
      
 
       



≪いばった王様≫   


昔々、ある国に若い王様がおりました。
その王様はわがままで、いばった王様でありました。
ほしいと思えば、誰のものでも、うばったり、
いうことを聞かない者は、みんな縄でしばったり、
本当に本当によくばった、困った王様でありました。

だから、お城のどこもかしこも、
いろんなものが、いっぱいになりました。
でも王様の国の人たちは、貧しい人ばかり。
笑顔は、どこにも見あたりません。

食事のときも王様は、
テーブルに、たくさん料理を並べさせ
口にたくさんほうばったり、やたらめったら食べちらかして
お行儀も悪い王様でした。誰にも分けてあげません。
全部ひとりで食べました。

ムシャムシャ、ムシャムシャ・・・
ゴクゴクゴクゴク・・・
だから体は、どんどん大きくなって
歩くのも大変になりました。
それでも全然おかまいなし

ムシャムシャ、ムシャムシャ・・・
ゴクゴクゴクゴク・・・
いつしか体は、まんまるになってしまいました。

 
ある日、 家来をひきつれて
いつものように宝物を見に、長い廊下を歩いていると 
小さなものにつまずいて バッタリ ころんでしまいました。
ゴロン、ゴロン・・・まんまるなのでおきられません。

たくさん家来はいましたが、
みんな、くすっ!笑っていて
誰もかけよって、起こしてくれませんでした。
いばってばかりの王様を 
みんなきらいだったので・・・

「早く起こさぬか!!はやく助けろ!!」
大声で命令されるので仕方なく、
みんなで、ヨイッショ!ヨイショ!ヨッコラショ!!

「イタタタタ・・・・みんな何してるんだ!ベッドに運べ!」
仕方がないので、またみんなで
ヨイッショ!ヨイショ!ヨッコラショ!!

長い廊下をヨイショ!ヨイッショ!ヨイショ!ヨイショ!・・・

「ヨイッコラッショッ!!」
 寝室のベッドに寝かせてあげました。
「イタタタタ・・・・」王様は、短い手で体をさすっています。
でも家来たちは、そのまんま、
どこかへ去ってゆきました。


   
広い広いお城の中の 広い広い寝室で 
王様は、大声でさけんでおりました。
ベッドで叫んでおりました。
「おーい!誰もいないのか?」
大声を出しておりました。

誰も来ません。どうしたのでしょう?

「おーい!誰もいないのか?」

怒って暴れているうちに、
ドシ~ン・・・・ベッドから落ちてしまいました。

広い寝室の中をゴロゴロ、ゴロゴロ、転がるばかり・・・

ゴロゴロゴロゴロ・・・・


ほんの少しの家来たち。
ほんとは かくれて見ていたのです。

「もうへばったか?」  「・・・」  「いや、まだだ・・・!」

誰も王様を 助けようとはしませんでした。


「おーい!おーい!誰もいないのか?」

怒りながら王様は、あっちへゴロゴロ こっちへゴロゴロ・・・
宝物にもぶつかって とうとう部屋のすみっこで
みうごきとれなくなりました。

「どうして誰もいないんだ?どうして誰も助けにこない?」

部屋のすみっこにまるまって、
王様は、何日も何日も ひとりで怒っておりました。
どうしたらいいのかわかりません。

そのうち涙がぼろぼろあふれてきました。



空にはまんまるい月だけが、お城を照らしておりました。
  
月の光がさす中で 王様は、いつしか眠っておりました。


      
「王さま!・・・王さま!・・・」 

誰かのやさしい声がします。


あたりは金色に輝いて あたたかい光にみちてます。
声は夜空のお月様から 聞こえてきたのでありました。
「こんばんわ!初めまして!そこの、まんまるのお方!
わたしも今日は、あなたと一緒!まんまるです。」

王様は、「フン・・・」 と、あいさつもしませんでした。

「私は、今夜はまんまるですが、
これからだんだん三日月に・・・
また だんだんとまあるくなって、
世界の夜をまわります。みんなの夜を照らします。
これが、私の仕事です。 

あなたの仕事は、なんですか?」  「王様だ!」
「そうなんですね!すばらしい!」 お月様は、いいました。
王様は「そうだ!一番偉い王様だ!
なんでもできる王様だ!」
といつものように、おこったように
いばった声で いいました。

お月様は云いました。
「王様の仕事・・・ 大変ですね!!
みんなが幸せになるように 泣いてる人がないように、
たったひとりで考えて、みんなに命令するのですね。
    
ほかの国の王様と、仲良く話し合って、助け合い 
みんなでこの星を守ってゆく!
ほんとにすばらしい仕事です!

今夜は、初めてお話できて、光栄でした。」
          
王様は、なにも答えません。

「もうゆかなくては、なりません。
私も仕事、がんばりますね!」

金色の光は、いつしか消えておりました。



「・・・夢だったのか?・・・」王様は、目をこすりました。

まんまるの月は、空にありました。

   
『王様の仕事』

・・・そんな言葉がよみがえります。
      
『王様の仕事』

・・・・「私は、仕事をしていただろうか?」

よくばりで いばりんぼうで、くいしんぼう。
おこって、どなって、わがままばかり・・・

だから・・・だから・・・家来たちも

いなくなっってしまったのか?」

王様は 少しだけ体を動かして、

もう一度月を見上げました。




次の朝にになりました。

何日も食べていなかったので
王様は、少し動けるようになっていました。

部屋を見渡すと宝物が、山のようにありました。

扉を開けて廊下を歩き、ほかの広間も見てみると
美しいはずのお城の中は、宝物だらけ
よくばった自分のせいでだいなしでした。
   
「私が子供の頃は、美しい城だった。
広々として、花が咲いて、家来たちも笑っていた。
今は・・・誰も・・・いない・・・

宝物は、みんなのもの。

私は、何をしてきたんだろう・・・」

   
    
王様は、心を決めると、ひとつづつ

馬車に宝物をのせました。

そうしてお城の外に出ていって

みんなに返してゆきました。
    
誰も あの王様とは気づきません。
  

「あ・・・ 有難うございます!

なにもおかえしはできませんが・・・」 と

それでも水を一杯、くれました。



「おお・・・これで子どもの薬が買えます。

こんなものしかありませんが・・・」

ある人は パンをひとつくれました。

  
王様は、馬車をひきながら食べました。

「なんでもない水やパンが、

こんなにおいしかったとは・・・」


王様は、次の日も次の日も、
お城と、まわりの村や町を行ったり来たり・・・
           

村と村の間には 峠がありました。
王さまは、坂道でがんばっておりました。、
「よいっしょ!よいっしょ!」とふんばっておりました。

「よっ・・・よーいっしょ!」・・・坂道なので
なかなかすすめません。

『 もうだめか・・・』と思ったそのときに、
ふっと、馬車が軽くなりました。

誰かが馬車をささえてくれたのです。
ひとりふたりと集まって、馬車を押してくれました。


馬車は、峠を越えました。王さまの目から、
涙がひとすじこぼれました。
光る涙でありました。・・・ ありがとう ・・・
王様は、小さくつぶやきました。

お城にあった宝物。ひとつひとつを馬車に乗せ、
なんどもなんども国中のみんなに返し終わる頃
あのまんまるだった王様は、すっかり体もたくましく
心もやさしくなりました。

  

お城は宝物がなくなって、すっかり広くなりました。
夜になりました。王様はバルコニーに出て、
夜空を仰いでおりました。
まんまるのお月様がありました。

光の中に優しい声がひびきます。      
   
「王様!お久しぶりです。
前とは別人のように、たくましくなられましたね!
やっぱり王様は、素敵です!」

王様は、何も云えませんでした。
それでもにっこりと、笑顔を返しておりました。

まんまるの月は、云いました。
「私もひとりぼっちです。
それでも私は 私の仕事、休まずちゃんといたします。 
王様もがんばってくださいね!
ときどき お話いたしましょう!」 
     
王様は、深くうなずきました。
王様にとって、はじめての
本当の友だちでありました。


王さまは、その夜、初めてぐっすりと、
安らかな眠りにつきました。




小鳥の声が チュンチュンと 朝をつげておりました。
爽やかな風が吹いていて、緑の木々を揺らしています。
お日さまは、レースのカーテンごしに
王様のほほを照らしています。


「王様!王様!・・・ 朝でございます」 

なつかしい家来の声が、聞こえます。

王様は、ゆっくり起き上がり、王様の服に着替えます。


大きな扉(とびら)の向こうには

家来が並んでおりました。

たくさんの召使いたちもおりました。

大きな白いテーブルにパンとミルク、

果物が少し・・・そして綺麗な花がありました。 
           
「王様は、ひとりで がんばった!

それでこそ わたしたちの王様です!!」
  
大広間にも お庭にも みんなの笑顔が ありました。


王様は、家来にうながされ、バルコニーに立ちました。

町の人は、喜びました。

「あれが私たちの王様ですね!」

みんな王様に、笑顔で手を振っておりました。 


王様も、みんなに手を振りました。

国じゅう やさしい ほほえみが あふれる朝でありました。

 
                       
                                   (おわり)



これで このお話は終わりです!
3年生のあなたにも 今度は伝わったでしょうか?
どんなふうに思ったか?どんな所が よかったか?
お父さんやお母さんに、少しだけでも話してね!

≪・・・ばった≫という言葉、いろいろ入れておきました。
ぜんぶノートに書けるかな?
さがしてくれたらうれしいです。

では また お会いしましょう!

ブリコ童話のおばさんより

  


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◆この記事へのコメント
言葉遊びが洒落ていますね。だじゃれでなくしゃれているのがいいですね。

さらに作品として練り上がっていくのを楽しみにしています。
Posted by どんぽのばぶどんぽのばぶ at 2014年05月28日 22:51
どんぼのばぶさんへ

  小さい頃、絵本が大好きでした。
  シンデレラ せむしの仔馬 こぶとりじいさん  
  かぐや姫 人魚姫 家なき娘 ・・・

  いきあたりバッタのだじゃれ(?)が、  
  ちょっと難しかった小学生の女の子のために
  ちょっと急いで作ったお話です。
  もっと、練らなくてはいけませんね。

  時が過ぎて読むと、直したいところが
  どのお話にも多く有ります。

  また、少しずつ、推敲していったら
  よくなるでしょうか?

  ひとつづつ、そんなふうに、育てられたら
  いいですね。また、アドバイスください!
Posted by 森のブリコ森のブリコ at 2014年05月30日 19:16
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