☆ ヒントを求め様々な本を読み、様々な人の言葉に助けられて生きて来ました。☆ブリコ童話は、私なりに学び、気づいたこと、思ったこと、伝えたいことを詩に童話にエッセイにブリコラージュしたブログです。☆長いものは、左下の・・・続きを読む・・・をクリックしてくださいね!

2019年05月14日

《 二人の天使 》

天使の仕事は毎日五粒, 幸せの種をまくことなんだ。

天使の仕事はその種を ちゃんと育てることなんだ。

天使は幸せの花を見届けて 後で種を拾ってゆくよ。

天使は、天に飛んでいって 幸せの種を返すんだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

二人の天使がおりました。とても仲良しでありました。

毎日いっしょにおりました。

おはよう! おはよう! 二人は一緒にご飯を食べて

仲良くおしゃべりしてました。


天使の仕事は毎日五粒、幸せの種をまくことだから
みんな列に並びます。幸せの種の入った袋を
がんばってね!と渡してもらうのです。
種の入った袋を持つとそれぞれ飛んでゆくのです。


二人も小さな袋を持つと背中の羽をパタパタさせて
今日はどっちに飛んでゆく?と、相談をしておりました。
そうして、一緒に飛んでゆきました。


二人の天使は、お花が好きで
綺麗な花を見つけると、可愛いものを見つけると
種の袋を持ったまま遊んでしまうのでありました。


《 二人の天使 》《 二人の天使 》













気がつくともう帰る時間です。

二人の天使は、驚いて 天に帰ってゆくのです。


その時二人は、飛びながら種をまくのでありました。





二人は、天に袋を返します。


ご飯を食べたら、それぞれの小さなベッドに入ります。

小さなベッドに入っても、ずっとおしゃべりしてました。



次の朝は、寝坊の二人 ご飯の時間も眠たくて

ご飯の後に並んでも、小さくあくびをしてました。


天使の仕事は、毎日五粒、幸せの種をまくことなんだ。

二人の天使は、手をつなぎ、一緒に飛んでゆきました。


どこにいこう? どうしよう?


今日は少し眠いから、静かなところで眠りたい!


そうだね!それじゃあ少しだけ ・・・


優しい風が、そよそよと木々を揺らしておりました。

小鳥の声も聞こえます。


 


二人は、気持ちの良い場所に下りてお昼寝してました。

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  
そこにふたりの旅人が通りかかったのでありました。

天使の姿は見えません。

人間の目には見えないのです。

それでも種は、見えました。

種の入った二つの袋は、光を放っておりました。

綺麗なものを見つけたぞ!!

奥さんや子供が喜ぶと、それぞれ袋を手に取ると

旅を続けてゆきました。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


二人の天使は目を覚まし、さあ飛んでいこうという時に

はじめて袋のないことに気づいたのでありました。

どうしよう? ・・・  探さなきゃ! ・・・

二人は、空に飛び上がり、ひとりは西へ、ひとりは東へ
袋を探しにゆきました。





二人の天使は休まずにあちらこちらを探したけれど、
袋は見つけられません。


二人の天使は仕方なく、天に帰ってゆきました。
返す袋はありません。袋を返すともらえるはずの
晩ごはんももらえません。





二人の天使はしかたなく、頬づえをついておりました。

朝になりました。

二人は、お腹がぺっこぺこ

急いで顔を洗うと、テーブルに一目散 ・・・

やっとご飯がもらえます。


二人は今日から幸せの種、ちゃんとまこう!と誓います。

一緒にいると、遊んじゃう。

今日からは、別の空に飛んで行こう!

二人の天使はそれぞれに、

ちがうお空にとんでいって幸せの種をまきました。



そうして、空っぽの袋を返し、晩ごはんが終わったあとに、

今日はどこへ行ったのか? 

どんな景色を見たのか?と

おしゃべりするのでありました。 

それからちゃんとぐっすりと、眠りにつくのでありました。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


幸せの種を拾った旅人たちは、あの日から

運のよい日々が続きました。


大変なことに出遭っても、ひとしきり泣いたあとには

必ず生きなおすことができました。



ひとりはお金持ちになりました。

広い土地に作物が沢山沢山とれました。

そこで働く人たちも、みんな笑顔でありました。

その作物は、沢山の人たちに届けることができました。

貧しかった小さな村は、幸せな町になりました。



もうひとりの旅人は、五人の子供を授かりました。

一人は美しい音楽を、一人は良い絵を描きます。

一人は花屋になりました。一人は物語を書いて、

一人は医者になりました。

それらを聞いた人たちも、それらを目にした人たちも

花を手にした人たちも、皆、心が静かに安らいで、

自然と笑みがこぼれます。

本は、みんなに寄り添って、元気と勇気を与えます。

病に泣いていた人も、その暖かい眼差しと

手当てで元気になれました。


二人の天使がなくした種もちゃんと花が咲きました。


幸せの種はまわりの人に自然に渡ってゆきました。


幸せの種を手にした人は、ちゃんと花を咲かせます。

沢山、種がこぼれたら まわりの人にも少しづつ、

分けてあげることが、できました。

みんながそれを分けあえば、みんなでそれを育てれば

みんなが笑顔の星になる。 


中には、ひとり占めする人も・・・

そんなことをしているうちに、種の光は、いつしか失せて

黒い小さな粒になり、ひとり占めした人の周りには

ひとつも花は咲きません。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


二人の天使は、今は、どこにいるのでしょう?

人の心の幸せや、人の心の苦しみを、

ちゃんと学んでくるように、

地上におろされたのでありました。


幸せの種の袋をなくしたことを、黙ったままでいたために、

数十年は会えないように離れた場所に下ろされました。


二人の天使は、

色んな場面に出逢いながら学んでいます。


幸せの種を毎日五粒、高い空からまく代わり

与えられた仕事をこなし、

まわりの人に元気や勇気、微笑みと愛を与えています。



出会えるはずのない二人、そこは、天のお計らい

遠い遠い町の中、ある日 偶然再会すると

なぜだかとても懐かしく、心が思い出すのでありました。



仲良く種をまいたこと、一緒におしゃべりしたことも



全然知らないはずなのに、なぜか二人は瞳の奥を

見つめ合うのでありました。


          
                         おわり




追記 ・・・ 偶然、昔、聞いたことのある

    美しいスキャットのタイトルが

  ♪ 二人の天使 と知りました。



 








同じカテゴリー(大人の童話)の記事
≪青いちじく≫
≪青いちじく≫(2021-11-17 05:04)

≪ 春の夢 ≫
≪ 春の夢 ≫(2018-04-13 06:50)

≪ いつも一緒 ≫
≪ いつも一緒 ≫(2017-05-24 20:11)

≪ 竪琴の調べ ≫
≪ 竪琴の調べ ≫(2017-05-23 10:03)


上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
《 二人の天使 》
    コメント(0)