ブリコ童話・作文集　

ゴォー　ゴォー・・・　　ゴォー　ゴォー・・・
じゅわー・・・と抜けて・・・ぐるぐるぐるーと脱水！

またザー・・・ってお水。　すすぎの２回目！
・・・・　　・・・　　・・・　　　また　ぐるぐるぐるーと脱水！　で
　ピーピーピーピー！　　・・・・　　

はい、お洗濯、終わり！！

フタが開いて　洗濯物は、取り出され　
かごに入れられて　物干しざおに・・・

お日様ぽかぽか　風が　そよそよ　
　　
小鳥も鳴いて　猫も通って・・・そして　ふっくらに






人生の中では、誰もが　
運命の全自動洗濯機に放り込まれる時がある。

普通に暮らしていたはずなのに・・・

　　悪いことなど　しなかったのに・・・

ある日、白い粉が　降ってきて、何？　
と思っているうちに　頭が真っ白に・・・
パタッ！と　フタが閉まって　真っ暗闇に・・・

何が起こるの？と思っていると　突然　水がザー・・・　
水びたし・・・窒息するゥー・・・ゴォー　ゴォー・・・　
いったい何が始まったの？・・・　　・・・　　・・・

止まった？・・・　まだ？・・・キャー・・・
何かが引っかかってるー・・・首が絞まる・・・

じゅわー・・・・ぐるぐるぐる・・・　　ザー・・・　ぐるぐるぐるー・・・目が回るー・・・
ゴォー　ゴォー・・・・ゴォー　ゴォー・・・

助けてー・・・殺されるー・・・　・・・

・・・・　・・・・　・・・・　・・・・　・・・・

ピーピーピーピー！　　　　
聞こえなかったけれど、終わりなの？

今度こそ　ほんとうに　止まったの？　・・・

もう　心まで　ちじこまって・・・

フタが開けられても　まぶしすぎて　ますます　固まってしまう。
外に出る気には、とてもなれない。

でも、突然、大きな手が入ってきて
　　「大丈夫！」と　取り出してくれる。
　　　　　物干しざおに干されて、パンパンされて・・・

そよそよ　風が吹いてきて
　　でも　まだ　怖がりになっていて重いまま


そのうち　お日様が　微笑んでくれて　・・・

　　小鳥が　いい声で　歌ってくれて・・・

　　　　　猫が下で　大あくび・・・　


もう一度　風にまかせる気持ちが　

　　もう一度　風にまかせる気持ちが　ふくらんでくる。


若いころは、真っ白で、まっすぐなタオルみたいね。
何度も全自動洗濯機に放りこまれているうちに
真っ白じゃなくなるし、だんだん　スキスキよれよれに・・・

でも　柔軟剤なんかいらないくらい　柔らかくなって。
風合いが出てくるよ。汗も涙も　よく吸うようになる。
人の役に立てるならって、布巾にだって、雑巾にだってなれる！
もう何も怖くない！　

汚れないように気をつけていても　やっぱり汚れてしまう。
だって　生きているんだもの・・・

洗濯しないままいて、人に見えないようにしていても、
自分はだんだんつらくなる。

そうすると、天は、
お母さんみたいに、すごい汚れにならないうちに洗ってくれる。

さっぱりした後は、洗剤にも　フタにも　水にも　　脱水機能にも
天の全自動洗濯機全部に感謝できる。

洗ってもらえて、また歩き始められる！って・・・

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　


・・・　手　　紙　・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

今　まさに　全自動洗濯機の中に　放り込まれている人へ


必ず止まる時間が来ます。　どうか頑張って！　

必ずまた、自分らしく歩き出せるときが来ます。
　　　　
　・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ブリコおばさんより・・・・・