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2012年08月07日

《 いくつものトンネル 》

自分が、眠っているのか、
起きているのかわからなかったけれど・・・
なぜか、はっきり覚えていた夢

すごい速さで、いくつものトンネルが、
現れては、消えた。

突然、目の前に現れたのは、何か金色のものが
沢山光っている、まぶしいくらいに明るい
トンネルだった。
その中に、ひたすら向かってゆく馬車の後姿が見える。
馬車は、白く、薄紫やピンクのそして
金色の模様がついている。
ひづめの音は、まったく聞こえなかったけれど
たしかに馬車だった。
後ろには、美しい白い洋服の従者がふたり乗っていた。

このトンネルは、どこへ続くのだろう?
あの馬車は、どこに向かっているんだろう?
誰が乗っているんだろうか?
その光るトンネルの前で、私は、
その馬車の後姿を見送った。

今度は、突然、暗いトンネルが現れた。
真っ暗といってもよかった。どこにも灯りはなくて
でも、怖い感じはしなかったから、私は
中に入って行った。ゆっくり歩いていった。


暗かったけれど、何にもぶつからず、
しばらくすると、突然明るくなって外に出ると、
そこには、黒い服の人たちが列をつくって歩いてゆく。
一本道を、静かに歩いていた。
みんな、黒い帽子もかぶっていた。
男性なのか、女性なのかわからなかったけれども
葬列だったのだろうか?しばらく皆で歩いていた。

そのうち、広い広い、草原について
さっと風が吹くと、みんなの黒い服や帽子が
風の中に溶けて消えてしまった。

お父さんや、お母さん、おじさんやおばさんが
微笑んでいる。少年達は、ウサギを追いかけ
少女達は、野の花をつみ始めた。
少女の金髪が、夕日に照らされ、
風に揺れながら、光っていた。



今度は、青いトンネルが現れた。
中は、水族館のようなブルーだ。
入っていってみると、そこはいつの間にか
水の中だった。遠くに白くぼやけたものが見え
私は、そこに向かって、最初は歩いていたが
いつのまにか、泳ぎ始めていた。といっても
息も苦しくないし、手や足を動かさなくても
思うほうに行くことができた。

まわりには、白く透きとおるような魚たちがも
泳いでいた。どこを見てもあたたかなブルーで
どこまでも泳げた。底の底のほうには、暗いはずなのに
白い何かがたくさん折り重なっている。

昔は船だったんだろうか?家だったんだろうか?
そこから、魚のようにゆらゆらと近づいてくる
白い人たちがいた。みんな優しく微笑みあっていた。
ずっとここに住んでいるんだろうか?
先頭の一人が、静かにうなづくと、また、底のほうに
泳いでいってしまった。遠くにぼんやり見えた
それらのものには少しも近づけなかった。



次に現れたトンネルは、真っ赤だった。
すこし、ピンクのような所もある。なにか
ふつふつと音がしている。何だろう?と思って
また中に入ってみると、そこは、
またいくつもの小さな赤いトンネルに別れていた。
そのトンネルの周りが透けていたのか
また私が泳いでいたのかは、思い出せないけれど
まわりは、濃い赤になったり、薄い赤になったり
ピンク色になったりしていた。みんなぬれていて
ぐにゅぐにゅした感じ、ベタベタは
していなくて、手で触っても、なにもつかない。
ドクンドクンと低い音も聞こえてきた。
これは、身体の中?とふと気づいた。
私は、小さなトンネルの中のあたたかい所で
眠ってしまっっていた。



黄色のよう茶色のようなトンネルが現れたのは
そのあとだ。そこは・・・・トンネルというより、
窓のようになっていて、近づくと、
向こう側の広いところが見渡せた。

目の前には、茶色とも黄色ともいえない、
大きな古いビルが建っている。もう何年も
誰も来ていないような、そんな建物だった。
沢山の窓は、閉まっていて、
黒とも灰色ともいえない色をしていた。
壊れている窓もあった。そのビルの後ろには
また茶色とも黄色ともいえない山が連なる。
山には、一本の木もなかった。
その向こうの山にもなにもなかった。
小さく黒いカラスが飛んでいるのだけが見えた。
夕暮れだったのかもしれない。
太陽も、もう沈んでしまっていたのか・・・
ただ、ただ、どこまでも・・・
黄色とも茶色ともいえない空が、続いていた。


こんどは、紫色の中を、緑が渦巻いている。
なんだろう?グルグル、グルグル
奥にさらに奥へ・・・
液体のようだ。緑の中には、花なのか?人なのか?
黄色いものが漂っている。
どこに運ばれてゆくんだろうか?


自分が、眠っているのか、
起きているのかわからなかったけれど・・・
なぜか、はっきり覚えていた夢

すごい速さで、いくつものトンネルが、
現れては、消えた。


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Posted by 森のブリコ at 16:02 │実 話

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