☆ ヒントを求め様々な本を読み、様々な人の言葉に助けられて生きて来ました。☆ブリコ童話は、私なりに学び、気づいたこと、思ったこと、伝えたいことを詩に童話にエッセイにブリコラージュしたブログです。☆長いものは、左下の・・・続きを読む・・・をクリックしてくださいね!

2015年01月25日

≪ ハ グ ≫

世界中を旅している自由人の彼は、
久しぶりに会うと、私をハグした。

『 久しぶり! 元気だった? ようこそ!
大好きだよ! 会えて嬉しいな! ・・・』

それらに一瞬に包まれる。

私だから・・・でもなく・・・ 
愛してるよ・・・でもなく・・・

老若男女にかかわらず、
みんなにする、彼流の挨拶なんだけど ・・・

やさしくて、あったかくって、大きくて
力強くて、安心できて ・・・ ハグは、不思議 
≪ ハ グ ≫

・・・ 日本には、まだ、定着してない

だから、私は、慣れていない ・・・ で、戸惑って ・・・

心の中が、少し乱れる。 

日本の人は、男性も、女性も ・・・ 

そういうハグは、あまりしない、特に中高年はね。

言葉も・・・ 云わない ・・・ ・・・ 云えない ・・・ 

ずうずうしくなく、なれなれしくなく、

礼儀正しくて、遠慮がちで、控えめで、 他人行儀


女性同士は、おしゃべりしながら、相談したり、
何か作ったり、食べたり、飲んだり・・・ 
そのうち、泣いたり、怒ったり・・・ 慰めたり、笑ったり・・・
いい時間を過ごせる

いや、そうでもないか・・・ 意地悪だったり もあるかな


男性は、軽く会釈して、離れていて ・・・ 微笑んで、
黙ってお茶を飲む、黙っている ・・・ 黙って歩く ・・・
突然、突拍子もないことを話し始めて・・・ えっ?
と聞き返すと・・・ いやいや、なんでもない・・・???
そのうち ・・・ じゃあ・・・って ・・・ ・・・  じゃあ?って
それだけ?・・・ それだけ? ・・・ それだけなんだ
・・・ ふ~む ・・・

何、考えてんだろう? 考えすぎて迷ってるの?
考えても仕方ないって、思ってるの?
何か、待ってるのかな? 黙ってても、何にもしなくても
伝わるって、信じてるのかな・・・?

幼いとき、おばあちゃんがそうだったように、
オバちゃんがしてくれたように、
お母さんがそうしてくれたように、
黙って待ってれば、何でも、してもらえるって
大人になっても、まだ思ってるのかな? 

・・・ はあ~ ・・・

男は、シャイだから ・・・ 傷付きやすいから ・・・
小心だから ・・・ プライドがあるから ・・・
かっこつけたがりだから ・・・

はあ~ ・・・ お子チャマね・・・

はいはい・・・ お子チャマには、
お子チャマランチを、あげましょうね。
ケチャップライスに、フライドポテト、オレンジジュースに
プリンにおもちゃ ・・・ 旗もたててあげましょう!

(馬鹿にすんな!) ・・・ ごめんなさい

じゃあ、おいしいお茶に、お味噌汁。
白いご飯に、アジの開き、納豆に、のりに、わさび漬け
きんぴらごぼうに、佃煮ね! はい、どうぞ・・・

・・・ (うむ) ・・・     ・・・  ・・・  ・・・

・・・  ・・・  ・・・  (終われば、自分のテリトリーに)

(テレビをつけて、新聞を見て ・・・ ) ・・・

お茶碗をカチャカチャ洗っていると・・・ 「あ~ああ」 ・・・
あくびしながら、伸びをする ・・・  はあ? ・・・ 
今度は、猫チャマ?



世界中を旅している自由人の彼は、
久しぶりに会うと、私をハグする。

『 久しぶり! 元気だった? ようこそ!
大好きだよ! 会えて嬉しいな! ・・・ 』

それらに一瞬に包まれる。

私だから・・・でもなく・・・ 

愛してるよ・・・でもなく・・・

老若男女にかかわらず、
みんなにする、彼流の挨拶だけど ・・・

やさしくて、あったかくって、大きくて
力強くて、安心できて ・・・


何食べたい? どこに行きたい? 一緒に作ろうか?
材料買っていこうか? ・・・ いいお天気だね。


そういうのに、私は、慣れていない ・・・ 

で、戸惑う ・・・ 心が、少し乱れるよ


乱れる ・・・ 乱れてるけど、見せない、云わない
考えないようにする ・・・ そして ・・・

控えめにして、なれなれしくなく
特別じゃなく、他人行儀にして ・・・ 



いつの間にか自由人の彼が作った
具沢山のワンプレートが、目の前に・・・

大きなカップに、どこの国かの温かいお茶、
初めての味 ・・・ でも ・・・ ホッとする。

いただきます! 美味しいね!! もりもり食べる彼。

笑いながら、「コレ何?」 「 それはね・・・」

おしゃべりしながら、感心しながら、私も全部、たいらげた。

二人とも手を合わせて、ご馳走様!! 

後片付けしたら、陽だまりで、打ち合わせ ・・・ 

少しだけプライベートも交えて ・・・ 話す ・・・ 頷く

話す・・・ 頷く ・・・ 絵を見せながら ・・・本を見せながら

話す ・・・頷く ・・・ 質問する ・・・ 答える ・・・

話す ・・・ 頷く ・・・ はい、じゃあ、そういうことで・・・

帰ります。 そう!・・・ じゃあまたね!

彼は、笑顔でハグしてくれた。 意味は、ないのだろう。

そこまで送るよ! 重い荷物のほうをを持ってくれた。

じゃあここで・・・ 手を振って別れた。



帰りの新幹線は、自由席で・・・私の隣には、
小さな女の子が座らされた。
ママは、向こうに座っているからと、離れた。

女の子は、口を真一文字にして、じっとしていた。
私は、思いついて、折り紙を出し、バラの花を作った
出来上がると、のぞきこんでいた女の子に、
小さく はい!といいながら渡した。
その子は、黙って頷いて、手の平にバラを乗せた。

ママが来た。斜め横の席が二つ空いたからと
連れて行った。ママは、窓側に、女の子は、通路側に座った。

女の子は、左手の中に、バラをつぶさないように持っている。
ママは、スマホを取り出して、ずっと、スイスイ触っていた。
女の子には、目もくれない。女の子は、しばらくバラを
見つめていたが、そのうち小さなバッグの中に
そっと入れて、かわりに菓子袋をとりだして食べ始めた。
ママは、「こぼさないでよ!」と短く云った。

私は、緑の色紙で、
短い茎と葉っぱを指先でつまみながら作り始めた。

女の子は、時々ちらちら、私のほうを見ていたけれど、

いつしか寝てしまっていた。・・・ 長旅で疲れたんだね。


降りる駅が近づくと、ママは、その子の膝を何度も叩いた。

「ほら、起きるよ!着くよ!」・・・
うっすら目を開けた女の子・・・でもまた眠ってしまった。・・・

「 ほらっ!起きる!置いてくよ!」 膝を叩いている。
・・・ 女の子は、目をこすりながら、何とか起きて
前のシートを見つめていた。

ママは、棚から、荷物を下ろし、お土産ものの袋も下ろし
女の子を通路に押し出した。列車が止まると
急いで出口に向かっていった。

女の子が、こちらをチラッと見たとき
バラの葉っぱを「はい!」っと、差し出した。
女の子は、すばやくそれを受け取ると、
ママの後を追いかけた。


外は、もう、真っ暗。 走り出した列車の窓からは
駅前の高層のビルたちが、見えた。
ネオンがチラチラ瞬いている。
列車は、走り出した。たくさんの車が、オレンジ色の帯を
つないでいた。テールランプの明かりの列も飛んでゆく。
そのうち、明かりが少なくなって、真っ暗な窓に
自分が映った。鏡で見るのとはぜんぜん違う
誰かがそこに映っていた。


女の子は、またバラを手にとってくれるだろうか?
葉っぱを、くっつけられるかな?
ママに、相談できるかな?
「 何それ?知らない人に何かもらっちゃいけないって
いつも云ってるでしょ!捨てちゃいなさい!」 ・・・って
叱られるかな?

それとも、「そうだったの・・・よかったね・・・」 って、
葉っぱをつけてもらえるかしら?

「今日は、疲れたよね。ゆっくりおやすみなさい!」って
静かにゆっくりハグしてもらってから、休めるだろうか?

≪ ハ グ ≫

自分が子育ての時だって、
いつも、いいママとは、云えないし・・・

そんなことを思いながら、自分も眠りに落ちていった。

あの彼に、始めと終わりにハグしてもらったことが、
思い出された。何も考えないようにしていた。



あれから何日たっただろうか?

あれから少しやさしくなって、
周りにやさしくしている自分がいる。

きっと、小さなハグは、
何より世界を平和に変える。
そんな風に思っているよ、今朝はね・・・

≪ ハ グ ≫


≪ ハ グ ≫


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Posted by 森のブリコ at 09:38 │実 話

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